数独の奇才が残したメッセージ
銀行で順番待ちをしていた。
女性セブンだったか週刊朝日だったか覚えていないが、手に取ってパラパラとめくる。すると、はらはらと白い半ピラの紙が落ちた。拾ってみると振込用紙だった。裏には9x9のマス目と数字がボールペンで書かれていた。マス目は雑だが、数字は整っていた。字はうまい。
週刊誌に目を戻すと、数独のページだった。そこで誰かが数独を楽しんで全て回答していったらしい。よっぽど待たされたんだなぁと、憐れんでいると、別な考えが頭をよぎった。
待てよ。
もしかしたら、待ち時間5分の間に全部解いた切れ者なのかもしれない。
そうだ。数独をすき好んでやるくらいだから、相当な切れ者に違いない。その証拠に見ろ、ボールペンの字は一度も訂正されず、迷いなく書き込まれている。
「おまえらみたいな愚民には解けないだろ?」という挑戦状を置いていった鼻持ちならない奴だ。そうに違いない。投資家か、あるいはベンチャー企業の社長か役員ってとこか。全く、これだから頭のいい奴は嫌いなんだよ。
おいどんの番号はまだ呼ばれない。
渋々、答え合わせをしてみた。天才とやらの力量を知りたい気持ちもあった。少しワクワクしてきた。
まったく合ってねぇよ!
ゴミ置いてくな!