春琴抄とデーミアン
どうしてこうなった……。
うちの5mmサイズ(当社比)の小さい図書館には該当作の単行本がなく、どちらも閉架から引っ張り出してもらった。予想通り、2週間では全集すべては読み切れず。
明治時代の大阪、三味線の師匠、盲目の検校(けんぎょう)春琴と丁稚佐助との恋愛と生活が描かれている。春琴の何代か後の弟子が書いた鵙屋(もずや)春琴伝を読んだ感想と推測のような語り口で進む。
卍(まんじ)、谷崎潤一郎
愛憎相半ばする柿内夫人と光子とのレズビアンの話。かと思いきや、騙し騙され頭脳戦の様相に。
検校、雲雀(ひばり)あたりをググった。ペットに雲雀って滅多に聞かないけど飼いならす習慣あったのねぇ。春琴抄は、句読点と改行が少ないのでかなり違和感がある。驚くことに、この春琴抄の最後は「。」で終わっていない。日本で五本の指に入る文豪だからできる(評価される)荒技かね。
選んだ作品のせいか、全体的に男からみた女性の傲慢さ・奔放さの描写が良かった。
谷崎潤一郎の感想は不要、味わえと言われているので、感想はこれくらいで。
- 出版社/メーカー: 三修社
- 発売日: 1965
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アルプス出身の詩人ペーター・カーチンメントの半生。人嫌いで自然を愛するペーターは自然の美しさの表現に嫌いな人間というアクセントが不可欠であることに悩み、何回かの旅行と失恋と大切な人の死を経て、故郷を思う。
デーミアン、ヘルマン・ヘッセ
ジンクレールと親友マックス・デーミアンとの半生。カインとアベルの話の解釈に端を発して、ジンクレールはキリスト教的世界観への疑問に思い悩み、第六感に従って人生を説明しようともがく。
ヘルマン・ヘッセは、全体として内省的な場面が多く、読みづらい人には読みづらいかもしれないが、現代的な翻訳のせいか、意外とスラスラ読めた。小説家というより詩人だなぁという印象。漫画タッチを小説にするとこうなる的な。
ユングとフロイトの弟子ラングの治療を受けているので、精神的に行き詰まるところがあったみたい。キリスト教がわかるともっと面白いのかもしれんね。
デーミアンの第六感に答えを求める気持ちはわかるなぁ。おいどんは霊感も第六感も持ち合わせてないので残念。