【ネタバレあり】ブラッカムの爆撃機、水深五尋(ひろ)
- 作者: ロバート・ウェストール,Robert Westall,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 福武書店
- 発売日: 1990/07
- メディア: 単行本
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ブラッカムの爆撃機、チャス・マッギルの幽霊、ぼくを作ったものの3作の短編が収録。宮崎駿が表紙と冒頭に漫画を描いてます。
ブラッカムの爆撃機
第二次大戦、おそらく中期あたりのイギリスが舞台。
アイルランド出身の中年機長タウンゼントに率いられたウェリントン爆撃機(ウィンピーという愛称で呼ばれている)に無線士として乗務することになったゲアリーだが、ドイツまで夜間爆撃に行った帰り、隊の嫌われ者ブラッカム機と一緒になった。そこで、ドイツのJu88(ユンカース爆撃機)と遭遇する。
帰還後、ブラッカムのウィンピーが不思議な事故を起こし…。
チャス・マッギルの幽霊
時期は同じ。少年チャス・マッギルが疎開した先は、私立の学校としても使われる古くて大きな屋敷。
4階のチャスの部屋の隣には誰もいないはずなのに、夜になるとろうそくが灯り口笛が聞こえてくる。同居しているホームズ家族の部屋だと思い探索するが、開かずの間だということがわかって…。
ぼくを作ったもの
おじいさんの話。ロバート・ウェストールの自伝か。
- 作者: ロバート・ウェストール,宮崎駿,金原瑞人,野沢佳織
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2009/03/25
- メディア: 単行本
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第二次大戦後期のイギリス。チャスの住む港町でUボートがイギリスの貨物船を沈めるところを目撃した翌朝、少年チャス・マッギルは川辺で無線機を拾う。友人のセムやシーラ、オードリーと始めたスパイ探しは徐々に現実味を帯びてきて…。
宮崎駿が表紙と挿絵を描いてます。
イギリスも日本と同様爆撃を受けていますね。配給制とか、灯火管制を敷かれていたり、日本の戦中の話と同様の暗さがある。地球の裏側でも似たような苦労をしてたんだなぁと。
このロバート・ウェストールは僕らのじいちゃん・ばあちゃんくらいの年齢なんでしょう。幸いにも戦争には直接参加しない年齢だったみたい。
ネタバレしちゃいますが、ブラッカムの爆撃機ではドイツ軍人の幽霊が、水深五尋ではドイツのスパイが出てきます。どちらも実際にはあり得ない話ですが、子供に夢を見させようとしているように思えました。街や大人の描写もすごくリアルなんですが、そこに現実味のない子供の冒険譚が結実してます。戦争物なので、重めです。
僕に子供がいたら、そもそも戦争ものの本は読ませないかなw
advanced大戦略のアドラー・アングリフという面を思い出します。バトルオブブリテンですね。ドイツ軍はHe100とかBf109E-1、E-3あたりの航空機をイギリス上空にバンバン飛ばすんですが、もうね、イギリス軍の大量のレーダー網と高射砲に苦しめられるんです。その間にもハリケーンやらスピットファイアMk-1あたりが蜘蛛の子のように押し寄せてきて、ロンドン上空はもう本当に泥沼。バッタバッタと両軍の航空機がドーバー海峡に落ちて行って時間とお金だけが浪費されるっていう。
んで、たまーに爆撃機がチラチラっと北の方から飛んできて、ウェリントンとかランカスターとかいう名前だったなと。僕の腕ではロンドン制圧が限界で、イギリス上陸は失敗したんですがw
ブラッカムの爆撃機の原題はBLACKHAM'S WIMPY。水深五尋はFATHOM FIVE。
尋はfathomの訳で、183cm。