せでぃのブログ

ブログ初心者おいどんのどうでもいい愚痴やどうでもいい愚痴やどうでもいいマメ知識などを披露するチラシの裏です。

星を創る者たち

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ブクマで気になったので読んでみた。


星を創る者たち (NOVAコレクション)

星を創る者たち (NOVAコレクション)

短編集をまとめて話をつなげた長編SF小説。前半の9割は、機械油と泥にまみれた惑星開拓に従事するエンジニアを描いたハードSFで、プロジェクトXのような渋さで話が進みます。
が、最後の最後の最後がもう、アッと驚く終わり方です。最後がハードSFじゃないかもw
各短編のタイトルですが、「コペルニクス隧道」、「極冠コンビナート」、「熱極基準点」、「メデューサ複合体」、「灼熱のヴィーナス」、「ダマスカス第三工区」、「星を創る者たち」と、SF好きを引き付けるタイトルになってます。このネーミングにやられたとこは、まぁ、あるよねw


ただちょっと、これは賛否分かれるラストじゃないのかなーとw
前半の短編もそれぞれ事件というか事故を話の中心に据えているので、それほど取っ付きづらくはないんですが、物足りない感はあります。ただ、ハードSFならこれで終わりってこともありうるなーと覚悟しながらジリジリ読み進めていくと、こちらの反応を見透かしたかのように、灼熱のヴィーナスあたりから、ほかの短編との繋がりを見せ、物語が徐々に加速していきます。ダマスカス第三工区で、ある新展開があります。それによって途中で出てきた素朴な疑問が伏線として生きてきます。最後に星を創る者たちで、その新展開について説明していくという形になるのですが。

個人的な感想を言わせてもらうと、最後まで描ききったのは失策というか蛇足だったと思うw 会議終了あたりまでは凄い良かったのに……んー惜しい。すごく惜しい。


最後に、設定で気になることを3つ。昔書いた短編を繋ぎ合わせたという後書きがありましたので、仕方ないのかなーとは思いますが。
・各話は惑星の開発の話なので、軌道往還機やマスドライバーの一言で済むのですが、最後は太陽系として、話が1つに繋がります。惑星間の移動手段の描写が少なくて気になりました。太陽系外縁まで10時間程度とか高加速船といった移動手段がちらほら出てきます。動力は何なんでしょう。メデューサ複合体で話題に上る核融合宇宙機というのがそれなんでしょうか。多少飛躍はあっても、これが惑星間航行船のエンジンだっ! 的な解説があっても良かったかな、と。
・月の開拓と土星の衛星開拓という仕事に、同じ人間が一生の中で関われるもんでしょうか? という時間軸的な整合性の問題。風呂敷を強引に畳み過ぎな気がしました。月ではまだ開発は始まったばかりのような描写があったので。土星の衛星も四半世紀で開発してるというのはいささか性急すぎやしないか、と。
・学者とか公務員を軽視というか敵視しすぎじゃないですかね…


ひさびさにのめり込みました。というか本読みました。面白かった。SFとしてラストがちょっと残念でした。せっかく太陽系内に留めたリアリティが。
個人的な感想として、ラストで「あちゃー」って印象が残りましたが、各話の事故は惑星の特徴を生かしてるし、木星での資源採取というチャレンジングな描写もあるし、おおむね面白いと思う。










追記:そう言えば、キリンジの「太陽とヴィーナス」の「時は2015年」が間近に迫ってて賞味期限やばいなーと思って、改めて歌詞をよくよくよーく読んだら、必ずしもSFとは限らなかったんだぜ!

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