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せでぃのブログ

ブログ初心者おいどんのどうでもいい愚痴やどうでもいい愚痴やどうでもいいマメ知識などを披露するチラシの裏です。

アルフレッド・ベスターのゴーレム100とVSラマチャンドランの脳のなかの幽霊

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)

 22世紀。ニューヨークは市街と人口を大幅に広げ、ガフの回廊地区と呼ばれていた。
 香料(フレグランス)の研究者ブレイズ・シマと混沌の街ガフで一番の占い師グレッチェン・ナンの二人組みがシマの深夜徘徊の謎を追っている内に、ガフ全体を巻き込む悪意に狙われ、原因を究明し悪意を排除するべく探索するお話。
 リジャイナを筆頭とする8人の蜂蜜レディは悪魔召還の儀式を繰り返し、冷静沈着で知識豊富なインド紳士の警察隊長アディーダ・インドゥニは不可解な第一級連続殺人事件に悩まされていた。彼女ら彼らを絡めとりながら徐々に謎の真相に迫っていく。


 刑事もの仕立てだからか、ラストぎりぎりまでは物語として面白く読めた。SF定番の支離滅裂破滅エンドすな。
 サイバーパンクではないのだが、必要以上に麻薬とセッ○スという快楽に倒錯し、躊躇なく精神的な世界に答えを求めて入り込んでいく。カーマ・スートラとか黒ミサといった宗教の性的な面を強調し過ぎじゃないかなーと。ユングじゃなくてフロイトを引き合いに出すあたり性描写からは逃げられないわなぁ。おいどん、敬虔なマーサー教*1なので電気ビリビリしながらドン引きしてますわ。
 サイバーパンクに分類するにはあまりにも未来的ガジェットが少ない。ワイド・スクリーン・バロックに分類される作者らしいが、おいどんはワイド・スクリーン・バロックの定義自体、理解できてないしイメージが掴めんのよね。サイバーパンクというよりは1960年代のサイケデリック・ムーブメントだろうな。ロックと麻薬と女と東洋に傾倒したウッドストックの古臭さを感じさせる。時代設定だけがSFなサイケデリック小説でした。

 インドゥニ隊長が地味だけど格好いいのはなぜだろう。歌や詩、あとは会話もか、比喩とか例えとか感嘆とかが相当もったいぶっててまわりくどくてしつこいので、その辺は適当に読み飛ばしました。ニューヨーカーはみんなこんなノリなのか!? ウザったい! 厚さの割に入りやすいし面白いかな、と。


脳のなかの幽霊、ふたたび (角川文庫)

脳のなかの幽霊、ふたたび (角川文庫)

 肢幻などを臨床医師が見立てて説明していく基礎医学の本? 時間がなくて斜め読みだったけど、相当面白い。脳の役割を仮定して、半側空間無視、カプグラ症候群、共感覚、そういった珍しい症例を元に解明していく。また、平易な言葉を使い、脳神経の動きから哲学的な問い(謎)を発していたりして、一般受けするような話にまとめられている。


 臨床実験の発想が凄いよ、この人。手軽で誰にも負担がなくて仮定を証明するのに十分で現実的な手法をよく思いつくよ。しかもその中で、幻肢痛の治療法も確立しちゃっている。
 脳と神経の科学的な不思議が知りたい方にはイチオシではないだろうか。


 自由意志より早い「何者か」がいるという話が一番面白かった。自分で指を動かそうとするのは自由意志だが、指を動かす0.1秒前に脳のどこぞで電気的な働きがあるらしい。0.1秒とは、意思を発してから指を動かすまでの神経の伝達速度では説明できない長い時間だそうで。自由意志の前に「何者か」が発令している。
 自己欺瞞で自己をあざむこうとする主体は「何者か」というのも合わせて考えると興味深い。

*1:フィリップ・K・ディックの「電気羊はアンドロイドの夢を見るか」というSF小説で出てくる宗教。主人公がこの宗教で、トリップするめの電気ビリビリする家電がある。