せでぃのブログ

ブログ初心者おいどんのどうでもいい愚痴やどうでもいい愚痴やどうでもいいマメ知識などを披露するチラシの裏です。

生物と無生物のあいだを読んで

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 新型コロナウイルスにまつわるあーだこーだの議論の中で、ウイルスは面白いみたいなことを言う増田がいた。
anond.hatelabo.jp
 面白そうだなぁと思ってトップブコメで紹介されているこの本を借りてきた。正直な感想としては、生物学を大学で専攻するか医学部生でもなければ、非常に取っ付きづらい内容だと思った。おいどんの頭では来世になっても理解できないな。まだ仮説だった頃のDNA研究の話から著者の研究するGP2発見までの研究者や研究室の事情を語りながら理論を説明する随筆だ。

  • DNA発見前夜

 オズワルド・エイブリーは肺炎双球菌のS型とR型の間で形質が遺伝される原因を調べていた。核酸(DNA)が原因としか思えなかった。
 四種のヌクレオチドはAとT、GとCの含量が等しいとアーウィン・シャルガフが気付いたが、説明はできなかった。(対の二重螺旋を全て数えれば同じ量になるよね)
 ロザリンド・フランクリンはDNA結晶にX線を照射して散乱パターンを数学的に解析する研究をしていた。そのX線結晶構造解析の論文を盗み見たことによってDNAラセンの逆平行に気付いたのが、フランシス・クリックだったのではないかという疑惑があるらしい。
 ジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックがDNA構造発見でノーベル賞を受賞した。

  • ウイルスの発見

 ロシアの研究者ディミトリ・イワノフスキーはタバコモザイク病の病原体の大きさを調べようと思った。単細胞微生物の大きさはどんなに小さくても、直径一〜数マイクロメートル。素焼きの陶板に空いている穴はその1/5〜1/10。要は病原菌をろ過するって発想だったが、どうしてもうまくいかなかった。ウィルスは単細胞生物の1/10程度だからね。
 ウイルスは、栄養を摂取することがない。呼吸もしない。もちろん二酸化炭素を出すことも老廃物を排泄することもない。つまり一切の代謝を行なっていない。ウイルスを、混じり物がない純粋な状態にまで精製し、特殊な条件で濃縮すると、「結晶化」することができる。つまり、この点でもウイルスは、鉱物に似たまぎれもない物質なのである。
 しかし、ウイルスをして単なる物質から一線を画している唯一の、そして最大の特性がある。それはウイルスが自らを増やせるということだ。ウイルスは自己複製能力を持つ。

 複製したいDNAが入ったチューブを100℃近くまで加熱すると、AとT、CとGを対合させていた結合が切れて、センス鎖とアンチセンス鎖に別れる(加熱しただけでは、DNAの鎖自体は切れない)。このあとチューブは一気に50℃程度にまで冷やされる。そこからまた徐々に72℃まで加熱される。
 チューブの中には、ポリメラーゼと呼ばれる酵素とプライマー(短い合成一本鎖DNA)。そして十分な量のA、T、C、G、四文字のヌクレオチドがあらかじめ入れられている。ポリメラーゼは、センス鎖の一旦に取りつき、プライマーの助け借りて、センス鎖を鋳型にして、対合するDNA鎖を四つの文字でつむいでいく。同じことがアンチセンス鎖でも起こる。
 合成反応は一分程度で終わる。これが完了するとDNAは二倍に増える。ここでチューブは再び、100℃に加熱される。すると、DNAはそれぞれはセンス鎖とアンチセンス鎖に分かれる。
 シータス社のキャリー・マリスが考案。